ショーペンハウエルによれば
知性とは普遍的な事柄の認識能力である
知識欲が普遍へ向かうと学究心と呼ばれ
個別へ向かえば好奇心になる
個別への関心は動物でもあるが
普遍をとらえるのは人間だけである
だからその普遍度が哲学や芸術のように
高ければ高いほど知的レベルが高い とする
逆に知性が欲望を満たすことや
実践的な物事の処理に奉仕するのは
低レベルな知性なのだという
そして世の中を大多数の凡人と
一握りの天才とに分ける
大多数の人間はその本性上
飲食と性交以外の何事にも真剣になれない
という性質を持っている
この連中は希有の崇高な資質の持ち主が
宗教や学問や芸術の形で世の中に
もたらしてきたすべてのものを
たいていは自分の仮面として用いて
ただちに彼らの低級な目的の為の道具として
利用することとなる
独創的で非凡な
場合によって不朽であるような思想を抱く為には
しばらくの間 世間と事物とに対して全然没交渉になり
その結果 ごくありふれた物事や出来事さえも
まったく新しい未知の姿で現れてくるというようにすれば
それで足りるのである
というのは まさにこのことによって
それらの物事の真の本質が開示されるからである
しかしながら ここで求められる条件は
困難であるどころか 決してわれわれの自由にならないものであり
他でもなく 天才のはたらきなのである
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