2009年2月19日木曜日

続 エルサレム賞




それでも私は
最終的に熟慮の末
ここに来ることを決意しました

気持ちが固まった理由の一つは
あまりに多くの人が
止めたほうがいいと
私に忠告したからです
他の多くの小説家たちと同じように
私もまた
やりなさいといわれたことの
ちょうど反対のことがしたくなるのです
私は遠く距離を保っていることよりも
ここに来ることを選びました
自分の眼で見ることを選びました


高く堅牢な壁と
それにぶつかって砕ける卵の間で
私はどんな場合でも
卵の側につきます
そうです
壁がどれほど正しくても
卵がどれほど間違っていても
私は卵の味方です


        以上
        村上春樹スピーチ






















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