2009年10月27日火曜日

人は原子




なぜ大都市では
黒人スラム街や白人高級住宅街のように
人種ごとに居住区が分離してしまうのか

第一の実験では
 黒人と白人が周囲に他の人種が一人でもいたら
 引っ越す という人種差別のルールで
 シミュレーションをおこなった
 結果は当然のことながら
 白と黒のはっきりする分離状態が再現された

第二の実験では
 人々に人種差別意識などなく
 異人種と軒を接することに
 満足する人々を想定した
 ただし 自分の家が異人種の家に
 取り囲まれてしまうような
 端的なマイノリティ状態になる時だけ
 転居するようルールを設定した
 これは人種差別の意識とはとはいえない 
 人間の自然な感情である
 ところが誰一人として差別域を持たない
 この実験でも 人々はきれいに分離してしまった
 
融合に満足する個人の集団でも
罪のない小さな選好があることが原因で
人々は物理法則に従う水と油のように
分離を進めてしまう

人間の複雑な心がわからなくても
集団としての振る舞いは物理学と同じアプローチで
解明することが可能なはずだ
というのが社会物理学の考え方だ

一人一人は完全に自由な個人でも
個人の行動が組合わさると
集団としては予測可能な結果がもたらされる
これが物理学で見られる結果とそっくりなのは
物理学では原始レベルの混沌とした状態が
熱力学や惑星運動の時計仕掛けのような
正確さに取って代わられるからである

「人間をかなり単純な諸規則に従う原子や分子の
様なものと見なし
それらの規則がもたらすパターンを
突き止める努力をすべきなのだ」

社会的な人間をシンプルな原子モデルに置き換える
直感に頼った思考 他社との関わりにおける学習と適応
人の模倣をしたがる心理 仲間との協調という
ふるまい属性を持った人間が相互作用すると
人間社会に実際によく見られるパターンが
生み出される
現代のコンピュータを使って大規模に解析すれば
社会の法則を見いだすことができる

自己組織化 べき乗則 利己主義・利他主義 人間の合理性
社会的本能など 社会科学を自然科学に近づけるアプローチ
























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