銀平が後をつけているあいだ
宮子はおびえていたにちがいないが
自身ではそうと気がつかなくても
うずくようなよろこびが
あったのかもしれない
能動者があって受動者がない快楽は
人間にあるだろうか
美しい女は町に多く歩いているのに
銀平が特に宮子をえらんで後をつけたのは
麻薬中毒者が同病者を見つけたようなものだろうか
ノーベル文学賞作家 川端康成による
いやらしい小説
「嫌みな感じ」「好色な感じ」
日本語のいやらしいには二つの意味があるわけだが
どちらの意味でも
いやらしいのがこの小説
"There could be a human face in the bottom of a glass." Art should not be beautiful, perfect, and comfortable.
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