2009年8月26日水曜日

みずうみ





銀平が後をつけているあいだ
宮子はおびえていたにちがいないが
自身ではそうと気がつかなくても
うずくようなよろこびが
あったのかもしれない
能動者があって受動者がない快楽は
人間にあるだろうか
美しい女は町に多く歩いているのに
銀平が特に宮子をえらんで後をつけたのは
麻薬中毒者が同病者を見つけたようなものだろうか



 ノーベル文学賞作家 川端康成による
 いやらしい小説
 「嫌みな感じ」「好色な感じ」
 日本語のいやらしいには二つの意味があるわけだが
 どちらの意味でも
 いやらしいのがこの小説
 



















0 件のコメント: